雨の日 水滴
墨を磨っていた頃、「このミニマルなモノはなんだろう?」と、おじいちゃんの水墨画セットを
御下がりしたときの気持ちを思い出しました。
写真の道具は「水滴 すいてき」。
主に水墨画や書道の方が使われるのでしょうか。
私が知っていたのは写真にあるような、空洞の陶磁器に小さな穴 ふたつ、というもの。
水に沈めて水を入れたら、片方の穴を指で塞いで、空気の入れ加減で硯に落とす水を調節します。身体をつかう、とっても繊細な動きに慣れるのが、なかなか難しかったのを覚えています。
写真奥の四角い方は、指を置く場所の釉薬がはげかけています。凄い!
道具ではありますが、あえて小さな枯れ枝や草木をちょこんと穴にいけてあげても可愛らしかったですよ◎
今日は雨が降ったり止んだり。
こんな日は部屋に入ってくる光も少なく、静かな気持ちでたゆたうように墨を磨ったり、色を味わうようにドローイングしてみてもいいかもしれませんね。
瀬戸の白色
料理が好きでとっても上手な友達と一度、器を一緒に見に行ったことがあります。
そのとき彼は、「中が白い器が好き」と一言。「中まで色がついているのが好き」という私と真っ二つに意見が割れたことがありました(笑。
というのも、私は料理がとても苦手。いつも器の色や柄に手伝ってもらっているのです。
でも彼は逆に、「色がじゃまになる」というのです。
おもわず私は感心してしまいました。
そんな、料理好きの方にぜひ、な蓋椀が入荷しました。
真白ではない、いい白。気持ちのよい色です。
大正の瀬戸になります。
蓋は薄く軽く、器は持っていただくと少し重量感が感じられる。そんな手にもうったえてくるものです。
ぜひ触れにいらしてくださいね。
蔵の空気をいれかえるための…
来ましたー!夏の前の、前くらいの前触れ。
お隣のお店の方が打ち水をしてくださっています。そんな風景の5月の京都です。
さて、ずっと片隅にありながらも存在感を放っていたモノを、思い切って特等席に置いてみました。
20代のお客さまから、初老の方まで老若男女問わず、しみじみと見入ってくださる方がいらして、会話もささやかに弾みます。
若い方はその佇まいに惹かれ、デザインそのものも味わっていかれます。逆にご年配の方は、懐かしい再会をしているような眼差しで、「身近だったものが今はこうして売られているんだねぇ…」と感慨深げにお話を聞かせてくださいます。
私もご年配の方からしたら子供のようなもの。
そんな年端の子が自分の慣れ親しんだものを骨董として売っている。というのはたぶん、不思議な時の流れを感じるようなことなのでしょうね。
私もおばあちゃんになったら_、と思いをはせてしまいます。